個人商店生き残り策を体験から助言!低迷する売上を上げる6つの抜本策
低迷する売上を回復させる対策を検討中の店はありませんか?
3年以上も売上が前年を下回っているお店は抜本的な対策をお勧めします。
なぜなら売上低迷の期間が長くなれば赤字になりますし、売上回復が難しくなります。
この記事では売上が低迷するお店に私の売上回復体験をお伝えしたいと思います。
売上の急減から何を考え、どのようにして売上回復に至ったかをお伝えします。
私の売上回復体験がお店の売上を上げるヒントになれば嬉しいです。
目次
どういう売上回復体験をしたか
観光客を対象とする海産物中心の土産物売り場を2009年から担当していました。
2010年の売上は前年比142%。
2011年は3月の東日本大震災から観光客が激減し売上が前年比で36%ダウンしました。
翌年も売上は更に1%ダウンしました。
その後2013年から4年間売上は前年を超え続け2016年は2012年比で2.43倍まで売上が回復しました。
一時は閉鎖を検討された売り場です。
閉鎖になっていたかもしれません。
まさに生き残ることができました。
低迷する売上を回復させた6つの抜本策
低迷する売上を回復させた抜本策とは以下の6項目です。
- お店の存在理由を確認する
- まず5 S から始める
- コンセプトの3項目を決める
- 持っている強みを活かす
- 今ある商品の価値を発掘する
- 提供する利得を伝える
今はこのようにして列記していますが
売上回復過程では力の入れ方の差こそあれ同時並行が多かったように思います。
実際に改善方針が決まるまでは混沌としていた状況でした。
改善方針や行動計画が決まるとあとは実行のみでした。
6つの抜本策について体験説明とアドバイスをしていきます。
1] お店の存在理由を確認する
[売上回復体験]
東日本大震災の影響とはいえ2011年は前年比36%減、2012年もほぼ同じ売上げした。
頼りにしていた取引先が商品供給を断ってきました。
もう1社は売上がなくロスばかりでているので申し訳なくて発注を止めました。
継続して取引してくれるところも新規商品の案内は全くしてくれませんでした。
委託販売ですので売れ残ればロスになるからです。
「お客様は来ない、来ても買わない、取引先は商品を引き上げる、持ってこない。」
もうどうすることもできないと思いました。
4割近く売上が減った状態が2年間も続くと売り場の廃止が検討され始めました。
そりゃそうです。
4割近くも売上がダウンすれば完全に赤字です。
「もうこの売り場は会社にとっても、お客様にとっても必要ないのか」
と思いました。
解決策や売上回復策はありませんでしたが
私は2つの理由から売り場の閉鎖には反対でした。
赤字部門をカットすれば赤字はなくなります。
一方で他の増売策を打たなければ全体の魅力が僅かでも落ちます。
これまで締めた店舗の売上は他でカバーできると言いながらできた試しはありません。
実際にそうやっていくつかのテナントさんを締めてきました。
だから、全体の魅力をどうしても落としたくなかったのです。
全体の魅力が少しづつ落ちて赤字店舗がドミノ倒しのように発生するのを恐れたのです。
もう一つの理由は担当の売り場が第2入口に位置していたため
お客様を受入・案内の機能が弱くなるのはお客様に不便だと思ったのです。
私の担当売り場には
入口付近の売り場としての受入・案内機能と
海産物中心のお土産提供という
2つの存在理由が確かにありました。
[アドバイス」
私の場合は急激な売上ダウンでした。
ですが
3年も5年も売上低迷するお店もまた、お客様からお店の存在理由を問われているのです。
お客様は「あなたのお店の存在理由が年々なくなっているよ」なんて言ってはくれません。
売上数字で教えてくれるだけです。
お店の存在理由を自問自答してみることは3つの意味でとても有効です。
- 売上低迷の原因がわかる:提供する利得に魅力不足
「このお店は~~だからお客様にとって必要なお店なのだ」
これがお店の存在理由です。明確な存在理由が確認できない場合はそれこそが売上低迷の原因です。
存在理由とはお店がお客様に提供する利得ということです。
お客様に提供する利得がお店にはないのかもしれないということです。
あるいは年々その利得が魅力を失ってきているということです。 - 売上低迷の原因がわかる:お店の提供する利得がお客様に伝わっていない
お店の存在理由を自問自答して明確な存在理由が確認できれば
それをお店で表現しお客様に伝えるだけです。
売上が年々落ちるのはお店の存在理由がお客様に伝わらなくなってきたのかもしれません。 - お客様から見たお店の状態を自覚できる
お客様から見たお店の状態を自覚しているお店の方が少ないかもしれません。
お店の存在理由を自問自答することで
今のお店はお客様にとって魅力が弱い、魅力が伝わっていないのだと自覚できます。3年以上も売上低迷しているお店は地域のお客様から不要と思われ始めている。
そう自覚できて始めてお店の売上回復のスタートに立つことができます。
明確なお店の存在理由が確認でき、お客様にもそれを認めていただければ売上回復はできます。
お店の存在理由こそが売上回復のエネルギーです。
お店の存在理由はお客様にとって利得の提供ですから。
2] まず5 S から始める
[売上回復体験]
お客様が少なかったので時間がありました。
することもないので5Sばかりやっていました。
5Sというのは整理、整頓、清潔、清掃、躾です。
簡単に説明すると
- 整理:不要なものを捨てる
- 整頓:定位置を決めて戻す
- 清掃:きれいに掃除する
- 清潔:きれいな状態を維持する
- 躾 :ルールを習慣づける
ということです。
やったことといえば以下のようなことです。
- 整理
古い書類や伝票は管理期間外のものは捨てました。
不要な什器や陳列小物は捨てました。
売り場やバックヤード、収納棚に沢山空きスペースができました。 - 整頓
道具や消耗品の定位置を決め誰でも使えるようにしました。
とても作業が効率的になりました。 - 清掃
店内の床の掃き掃除を度々することができました。
売り場はきれいになりましたし気分も爽やかなになりました。 - 清潔
5Sをするために作業を効率化してきました。
お客様を待機する時間がなくなり、作業に動きが出てきました。 - 躾
作業がスムーズに、楽に進むようになると誰しも自然とルールを守ります。
売上が低迷していても何かしらが改善されているとモチベーションが保たれます。
それに甘んじていてはいけませんが。
5Sをすると気づきも多くなり、大きなメリットがありました。
- こんな汚い売り場で、こんな汚れた棚で商品を販売していたなんて
- 自分自身のやっていること、やっていないことが反省される
- 売り場の改善点が見えてくる
- 仕事がスムーズに進むようになり楽になる
- お客様のことに気を配る余裕ができてくる
- 作業をさらに改善する余裕ができてくる
- お客様にもっと喜んでもらうことはできないかを考える余裕ができてくる
- これは演出物として使える!というものが発見できる
- 要るものいらない物の判別をしていると少しずつ自分の考えがまとまってくる
- 課題の解決策のヒントがひらめいてくる
- 物事を冷静に考えられるようになり感謝の念や素直さがでてくる
これは私だけかもしれませんが掃除(5S)をしていると
体を動かしている一方で頭の中ではいろいろと思索を巡らせています。
それだから5Sの後では良いアイデアも出やすいのです。
その5Sのおかげでしょうか?
こんな気付きがありました。
レジカウンターの中で何となくボ~っとしてたら
レジカウンターの向こう側のもう一人の私が
レジカウンターの中の私にこう言いました。
- 「お前(レジカウンターの中の私)は
お客様が来ないと言うけど
少ないとはいえお客様は来ているでしょ!
お前の目の前にいるのはお客様と違うのか?
お前の目は来てもいないお客様ばかり見ているんじゃないか?」 - 「お前は来たお客様も買わないと言うけれど
少しでも売れてるでしょ?
お前は何か商品をおすすめしているのか?
ただ商品を置いているだけで
何もしないで買わないって言ってるだけじゃないのか?」 - 「お前は取引先に商品を持って来ないって言うけれど
売れれば持ってくるよ!
売れないでロスを押し付けるから持って来れるわけ無いでしょ!
ちゃんと売ってくれればいくらでも持って来るよ!」
回りが何もしてくれないのではなくて
私が何もしていないんだ!
そして
次のような2つの数字を思い出したのです。
- 非計画購買率86%
総合小売業の場合、お客様が店内で衝動購買をするのが86%ということです。
お客様は何かの影響をうけて殆どの商品を店内で買うことを決めているということです。 - 買上率25%
お土産店に入店した方の25%が買い上げ客になっているということです。
逆に言えば入店したお客様の75%は買わないということです。
2つの数字を思い出して次のように思ったのです。
- お客様は殆どの商品を店内で買うことを決めている
⇒私が何とかすれば少しは余計に買ってくれるんじゃない? - お土産店に入店したお客様の75%は買っていない
⇒私が何とかすれば何人かは買ってくれるんじゃない?
希望が見えてきました。
私が何とかすれば買ってくれるんじゃない?
[アドバイス」
売上回復の第一歩は5Sから始めることをおすすめします。
5Sには売上回復に欠かせない5つの良いことがあります。
- お客様の視点に変わることができる
業績の良くないお店はお店が汚い、5Sができていないとよく言われます。店舗見学に行くと確かに売り場、バックヤード、棚、入口、駐車場が
汚れているお店は業績が芳しくありません。お客様に対しての最低限のマナーさえも無くしている。
多くの場合、お店はそれに気づいていません。
見慣れた売り場がお店の視点できれいでも
お客様の視点では汚れて見えます。売上が低迷している時は大小の差はあれ
お店がお客様のニーズからずれているものです。5 S でお店の中を整理するとお店の視点とお客様の視点がずれていることに気づきます。
そして
お店の視点からお客様の視点に変わることができます。 - 売上低迷の原因が自身だと自覚できる
POPの変色、傷み、汚れ、商品パッケージの傷み、陳列が乱れ、商品が横を向く
キラキラしたガラス製品の棚が指紋で汚れ
美しさやデザインを売る商品の棚にセロテープ跡
そういうお店は必ず売上が低迷しています。5Sをするとセロテープの張り跡、棚のほこりや汚れに気づき
「これでよくお客様が買ってくださったな」
と思えるのです。お客様に対して全く無頓着、無関心であったことが見えてきます。
売上の低迷の原因は誰でもなく自分自身だと分かります。売上低迷の原因が自分自身だとわかって始めて売上回復のアクションを起こせます。
なぜなら
世の中で自分が変革できるのは自身だけだからです。 - お店の存在理由がはっきりしてくる
5Sで今の自分、お店にあるを大切なものと無くても良いものに判別します。
お店の存在理由に対して役立つものと不要なものを判別します。そのようにして
自分の頭の中、売り場、商品のすべてを見直します。そうすると
「お店の存在理由って何だったっけ?」
「当店は何を大切にしていたんだっけ?」と
頭と心の中を整理することができます。 - 売り場の改善点がどんどんでてくる
5 S ができていれば
・スピードのあるサービスができます
・お客様に喜ばれる陳列ができます
・商品の魅力も発揮されます5S をすると売り場の改善点や課題がどんどん見えてきます。
5S によって売る側の視点からお客様の視点に変わるからです。これでは売れないなと自分で自分の売り場のことを思えたら
こうしたらもっと喜んで貰えるかなと思い出したら
自己変革のスタートをしたということです。 - 5Sでお店の持てるものを確認できる
5Sをするとお店の良い部分もたくさん見えてきます。・これはこれでいいよな!
・これは当店のウリだな!
・これは存在理由を表現するのに使えるな!5Sをするとお店の持っている良いところ、強みも確認できます。
更にそれを磨いていけばいいのです。
3] ストアコンセプトの3項目をきめる
[売上回復体験]
5Sによって得た気づきと希望。
回りが何もしてくれないのではなくて
私が何もしていないんだ!
私が何とかすれば買ってくれるんじゃない?
では実際にどうするか?
これまでも売ることに一生懸命で、売上も前年比142%と伸びていました。
だから
それでいいのだ、これ以上無い売り場だと思っていました。
売上が36%も落ち込んで始めて
「このままじゃダメなんだ」
とわかった。
「これから一体どういうお店にすればいいのだろう?」
「どういうお店って、ストアコンセプトっていうこと?」
私はまずストアコンセプトを書き出すことにしました。
これまでストアコンセプトの3項目なんて考えたこともありませんでした。
- お客様は誰だろう
- このお店はどういう利得を提供しているのだろう
- どういう特徴でその利得を提供しているのだろう
そういうことは考えたこともありませんでした。
要するに今まで何もしてこなかったということです。
それだけお客様に対して無関心だったということです。
ストアコンセプトの3項目を決めないと売上改善はできません。
どういうお店にすればいいのかわからないのですから。
ストアコンセプトを以下のようにしてみました。
- 当店のお客様は
県外の方、石川県のお土産品を買いたい方、海産物を好む方海外のお客様は多かったのですが外して考えました。
海外のお客様にはどういう利得がいいのか
どういうふうに提供すればいいのかわからなかったのです。
売れているものは力を入れていくという対応しか思い浮かびませんでした。 - 当店が提供する利得は
美味しい海産物とその関連商品を提供すること。
石川県ならではの美味しいお土産品を提供すること。 - どういう特徴でそれを提供するか
商品の価値を徹底して調べて
それを POP で伝えてお客様にお買い求めいただく 。
ストアコンセプトは決めてみたものの、書き出しただけです。
新しい商品を仕入れることはできませんでした。
売れていないので、一部の取引先が商品供給を断ってきました。
継続して取引してくれている取引先も新商品は一切紹介してくれません。
委託販売条件ですので売れなければ取引先のロスになるのです。
今ある商品で売っていくしかありませんでした。
これ以上品揃えを減らさないように取引先には一切返品しないから取引継続を頼みました。
取引条件は委託販売から変えることはできません。
それなのに一切返品しない。
どうしたか?
返品商品は私が買い上げました。
そりゃ売ることに必死になります。
- 小遣いはなくなる
- 家内には叱られる
- アジの開きを一度に5枚食べる
大変だもの。
2年目から売れるようになって何とかなりましたが、それは6年続きました。
商品も何もかも今あるものを活かすしかありませんでした。
[アドバイス」
変革してどういうお店にするのか以下のコンセプトの3項目を決め、書き出します。
- お客様は誰か
- どういう利得を提供するか
- どういう特徴でその利得を提供するか
売上が低迷しているお店は存在理由もコンセプトも曖昧です。
存在理由はお店の運営方針、コンセプトはお店の設計図です。
それが曖昧ではお店の魅力は弱いですし、お客様には伝わりません。
売上が3年、5年と低迷してきたら
まず存在理由を確認し、コンセプトを確認するのが良いと思います。
存在理由もコンセプトも書き出すことです。
書き出すと頭の中が整理できます。
書き出すとその後のブレが無くなります。
4]持っている強みを活かす
[売上回復体験]
コンセプトの中の
「どういう特徴でその利得を提供するか」
私の特徴はPOPを書くことでした。
POPで商品の価値を伝える。
それを私の強みにしました。
強みを活かすとは単に強化するのでは無く、強みでお客様を動かすということです。
それまでもPOPは書いていました。
特徴が特徴だけで終わっては何も変わりません。
強みを活かすとは単にPOPを書くだけではなく
数倍売れるPOPを書くことです。
POPを見て買うお客様が数倍になるということです。
数倍売れるPOPを書くには書こうにもネタがありません。
POPを見たお客様が「買わずにいられなくなる理由」を探し始めました。
次項の「今ある商品の価値を発掘」にあるように
買わずにいられなくなる理由を徹底して探し始めました。
その「買わずにいられなくなる理由」をPOPにすると
高い確率で数倍売れるようになったのです。
[アドバイス」
持っている強みを活かす。
どんなお店にも強みというものがあります。
それでお客様に喜んでいただけます。
持っている強みを活かしていないので売上が低迷してきます。
持っている強みを活かしていないのは力の半分しか出していないということです。
強みを活かすとは単に強化するのでは無く、強みでお客様を動かすということです。
私の場合はPOPでしたが「接客」が強みのお店もたくさんあるかもしれません。
その強みを「活かして」お客様を動かすお店は少ないかもしれません。
例えばこういう感じです。
- 接客で客数を2倍にする
一人のお客様から家族全員の情報を聞き出し、家族全員を顧客にする。
これだけで売上が2倍以上になります。 - 接客で来店頻度を2倍にする
お客様の情報を聞き出し、顧客リストを整備してDMを送り来店頻度を2倍にする。 - 接客で買上数を30%アップさせる
接客でおすすめする商品を選定しておき確実に一声かける。 - 接客で買上単価を10%アップさせる
接客でワンランク上の商品を選定しておき、その良さのモデルトークを作っておく。
活かし方っていっぱいあります。
5] 今ある商品の価値を発掘
[売上回復体験]
小売業が売上を上げようとすると真っ先に考えるのが商品の入れ替えです。
当然私もそう考えました。
しかしそれが叶いませんでした。
それどころか、今ある商品の品揃えを維持するのが精一杯でした。
一部の取引先は売れずにロスが出るので商品を引き上げました。
継続して取引していただける取引先もロスのリスクのある新規商品を持っては来ません。
私がロスを全部買い上げて返品をしないで品揃えを維持するので精一杯だったのです。
今から思うとこのおかげでその後の売上の回復があったのだと思います。
商品力で売るのではなく販売力で売るように変われたのです。
どのようにして販売力を高めていったのか?
新規商品を入れられない私ができることは「今ある商品の価値を発掘」することでした。
今ある商品にお客様が買わずにいられなくなる理由(=価値、利得)を探し出すことでした。
そんなものはないと思っていましたが調べてみると、いっぱい出てきました。
売りにくい商品ほどお客様が買わずにいられなくなる理由(=価値、利得)があります。
売りやすい商品、お客様の欲する商品ほど買わずにいられなくなる理由を探すのに苦労しました。
私の苦手なキャラクター商品などはそのキャラクターだから売るので、他に理由はないのです。
ブランド商品も売れ筋商品といわれるものもそうです。
そのブランドだから売れる、今人気があるから売れるのです。
今では
売れる商品というものは無くて、売れる売り方があるのだと思っています。
売れる商品は競合店も仕入れたがります。
そして価格競争になります。
沢山の同じ商品が市場に溢れ飽きられます。
売れる商品はすぐに売れない商品になります。
売れる売り方で売る商品はそのお店でしか売りません。
そのお店の持ち味で売っているのですから他のお店では売れませんから。
独占的に希少性を持って売ることができます。
今ある商品にお客様が買わずにいられなくなる理由(=価値、利得)を探し出す。
例えば「いしる」です。
いしるは石川県の能登の魚醤(魚を原料とした醤油)です。
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石川県 能登の特産品
いしる 350ml 540円
ーーーーーーーーーーー
最初はプライスカードだけでした。
ロスにもなっていました。
買い上げもしました。
何とか売ることはできないか?
お客様が買わずにいられなくなる理由(=価値、利得)が何かないか?
そうして調べたらいっぱい出てきました。
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石川県 能登の特産品
いしる 350ml 540円
三年熟成して作ります
石川県のふるさと食品に認定されています
日本三大魚醬で最も生産量が多い魚醤です
江戸時代から続く伝統的製法で雪の降る寒い時期に仕込みます
いしるは能登でとれた新鮮なイカを原料としています
日本海の新鮮な魚を漬けて一夜干しにしたいしる漬けは絶品です
能登では貝焼やいしる鍋はいしるでなければならないというくらい美味しいです
使い慣れない方はカレーや、焼飯、おでん、お鍋に少し使うと美味しくなります
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それをPOPにして、使い方のレシピを付けたら売れだしました。
それ以降は買い上げをしなくて済むようになりました。
売れ残ることがなくなったからです。
[アドバイス」
今ある商品を徹底研究すると
お客様が買いたくなる理由がたくさん出てきます。
そうすると
今ある商品の訴求ポイントも多面的、多彩になります。
多くのお店は手持ちの商品を十分知っていると思っています。
他業界の人や素人の人が素朴な疑問をぶつけると窮することがあります。
そこに売れるヒント、お客様が買いたくなるヒントがあります。
例えば「土用丑のうなぎの蒲焼」
多くのお店が土用の丑を食べることの大きなきっかけにしています。
訴求ポイントはうなぎの産地、夏バテ防止、商品づくりがほとんどです。
だから競争になります。
夏バテ防止をアピールすればステーキとも競争になります。
調べることっていっぱいあります。
- 何となく国内産で〇〇県産がいいではなくて産地の違いでどう違うのでしょう?
- 美味しいうなぎって何が違うのでしょう?そのポイントは?
- タレが訴求点にはならない?醤油はどこのもの?製法は?こだわりは?
- 焼き方で違いは出る?特別な焼き方ってある?
- 銘店のうなぎ屋との違いは何?
- お米との相性は?お米の量は?食べ方は丼、重、皿で?
- 一緒に食べて美味しいものは?
- 一緒に食べて夏バテにいいメニューは?
- 香辛料はさんしょだけ?何故さんしょ?
うなぎなんて年中販売しています。
その間に他店と違う訴求点をお客様にアピールして
圧倒的な独自の価値でファンを作り土用の丑に臨みます。
そうすると土用の丑なんて軽~く前年超えられます。
もっともっと商品のことを調べるといいです。
そこにお客様が潜在的に欲している価値があるかもしれない。
調べた中にお客様に問うてみたい訴求点があるかもしれない。
今のままで全部知っていると思うことだけはしないほうがいい。
それだと変革できないので。
調べる方法は
- 生産者、メーカーに聞く
- 生産現場を見る
- 取引業者に聞く
- 使用している顧客に聞く
- ネットで調べる
です。
今ある商品の価値を発掘していくと
- どう頑張ってもお客様が買いたくなる理由が出てこない
- お客様に勧めたくない理由が出てきた
という場合があります。
そういう時は以下のようにします。
- どう頑張ってもお客様が買いたくなる理由が出てこない商品は
低コストで書いたくなる理由を創れないかを検討します。
・ちょっとした景品で買いたくなるようにする
・他の商品とのセット化で新しい価値をつける
・演出力でカバーする - お客様に勧めたくない理由が出てきた商品は
・売り場から外す
・先に不都合な情報を伝えて、あえて販売する理由を伝える
・販売の優先順を下げて積極販売しない
どんなに売れていてもおすすめできないのでPOPは書きませんでした
今ある商品の価値を発掘していくと
とても価値ある商品でぜひ買っていただきたいと思う商品が出て来ます。
そして
ぜひおすすめしたいと思うように商品に愛着がわきます。
一方でこれはあまりおすすめしたくないな~という商品が出てきます。
これがストアコンセプトから商品を選択する方法につながってきます。
6]利得を伝える
[売上回復体験]
お店の存在理由を確認しました。
私の担当売り場には
- 入口付近の売り場としての受入・案内機能
- 海産物中心のお土産提供
という存在理由が確かにありました。
当店の考え方をストアコンセプトという形で書き出しました。
- 当店のお客様は
県外の方、石川県のお土産品を買いたい方、海産物を好む方海外のお客様は多かったのですが外して考えました。
海外のお客様にはどういう利得がいいのか、どういうふうに提供すればいいのかわからなかったのです。
売れているものは力を入れていくという対応しか思い浮かびませんでした。 - 当店が提供する利得は
美味しい海産物とその関連商品を提供すること。
石川県ならではの美味しいお土産品を提供すること。 - どういう特徴でそれを提供するか
商品の価値を徹底して調べて、それを POP で伝えてお客様にお買い求めいただく 。
今ある商品の価値を発掘していきました。
そうすると
- お客様が買いたくなる理由がたくさんある商品
- お客様が買いたくなる理由が出てこない商品
- お客様に勧めたくない理由が出てきた商品
がありました。
お客様にとっての利得を伝えて、聞きました「いかがですか?」
当店の考え方:ストアコンセプトと商品の買いたくなる理由を
売り場で表現してお客様に伝えました。
ストアコンセプトから売り場のレイアウトを変更しました。
「売れる売り場」から「ストアコンセプトに合った売り場」にしました。
- 当店の想定するお客様に一番見ていただける場所に
- 当店が提供する利得の商品(お客様が買いたくなる理由がたくさんある商品)を配置し
- 当店の特徴である商品の価値を徹底して調べて、それを POP で伝えるようにしました
お客様が買いたくなる理由が出てこない商品やお客様に勧めたくない理由が出てきた商品
はどんなに売れていても売り場の端に追いやられました。
売上がどうなるか、とても心配でしたが、今もどん底です。
考え方を信じてやるしかありませんでした。
でも
気持ちはとても楽でした。
売上を上げなくてはというより
お客様が買いたくなる理由がたくさんある商品をおすすめする方が
ずっと楽です。
お客様が買いたくなる理由(=価値、利得)がたくさんある商品は
自分自身も買いたくなりました。
自信や愛着を持って販売するようになりました。
お客様に「これいいよ!」って伝えたくなりました。
これはとても自然でスムーズに進む方向でした。
そうやって商品の価値をPOPで伝えていると自然に売れだすようになりました。
売れ出すと新しい商品を紹介してるようになり商品が集まりだしました。
売れる所に商品は集まるようです。
商品のもたらす価値、利得とそれを求めるお客様のニーズの仲介をする
このことこそが小売業のあるべき仕事ではないかと思いました。
あるべき仕事をして初めて仕入価格に利益を載せた売上が出てきました。増えてきました
[アドバイス」
お店の存在価値を確認し
お店の考え方であるストアコンセプトを決め
今ある商品の価値を発掘していくと
- とても価値ある商品でぜひおすすめしたいと思う商品
- どう頑張ってもお客様が買いたくなる理由がない商品
- これはあまりおすすめしたくないな~という商品
が出て来ます。
それが
お客様にとって必要とされる存在価値の視点であり
お客様に喜んでいただけるお店に考え方のストアコンセプトの視点であり
お客様にPOPで「これいいよ!」っておすすめする友人の視点であり
ある意味でお客様の視点でもあります。
それを
- レイアウト
- 商品構成
- ディスプレイ
- POP
- 接客
で表現していきます。
すると
売上は自然に回復していきます。
この記事に参考となる記事はこちら
「今あるものを活かす」試行錯誤から学んだ個人商店の生き残り策
お客様を断捨離すれば売上利益が増える【中小店舗個人商店の生き残り策】
まとめ:
個人商店生き残り策を体験から助言!低迷する売上を上げる6つの抜本策
- お店の存在理由を確認する
明確なお店の存在理由が確認でき、お客様にもそれを認めていただければ売上回復はできます。
お店の存在理由こそが売上回復のエネルギーです。
お店の存在理由はお客様にとって利得の提供ですから。 - まず5 S から始める
5Sには売上回復に欠かせない5つの良いことがあります。
お客様の視点に変わることができる
売上低迷の原因が自身だと自覚できる
お店の存在理由がはっきりしてくる
売り場の改善点がどんどんでてくる
5Sでお店の持てるものを確認できる - コンセプトの3項目を決める
変革してどういうお店にするのか以下のコンセプトの3項目を決め、書き出します。
・お客様は誰か
・どういう利得を提供するか
・どういう特徴でその利得を提供するか - 持っている強みを活かす
どんなお店にも強みというものがあります。
それでお客様に喜んでいただけます。
持っている強みを活かしていないので売上が低迷してきます。
持っている強みを活かしていないのは力の半分しか出していないということです。
強みを活かすとは単に強化するのでは無く、強みでお客様を動かすということです。 - 今ある商品の価値を発掘する
今ある商品を徹底研究すると
お客様が買いたくなる理由がたくさん出てきます。
そうすると
今ある商品の訴求ポイントも多面的、多彩になります。 - 提供する利得を伝える
お店の存在価値を確認しそれをで表現していきます。
すると売上は自然に回復していきます。