個人商店は使えるビジネスフレームワーク「STP分析」でセルフ業績改善
いま自らを客観視し論理的思考ができる個人商店の経営者はセルフ業績改善に取り組んでいます。
経営者が経営コンサルタントに求めるものは以下の5つです。
■論理的思考■マネジメント理論■フレームワーク■外部の目■外部からの働きかけ
経営者が自らを客観視できればコンサルタントに頼らずセルフ業績改善できます。
それはマネジメント理論やフレームワークが簡単に学べ、活用できるからです。
この記事ではフレームワークの解説よりも実践的な考え方、活用の手順を説明しています。
セルフ業績改善の一情報としてこの記事を役立てていただければありがたいと思います。
目次
細分化し狙いを定め立ち位置を決めるための
ビジネスフレームワーク「STP分析」
業績が低迷するお店に共通する3つの認識
業績が低迷する店に共通する3つの特徴があります。
「なんとなく」、「ぼんやりと」、「待っている」のです。
こういうつぶやきを聞きます。
- 「なんとなく売れていない」
- 「顧客が減ったと思う」
- 「とにかく顧客に来てほしい」
- 「いつか顧客は増える」
と「なんとなく」、「ぼんやりと」、「待っている」のです。
業績改善のスタートははっきりさせること。
- 「なんとなく売れていない」⇒「何時からどれだけ売れなくなっているのか」
- 「お客が減ったと思う」⇒「何時からどれだけ客数が減っているのか」
- 「とにかくお客に来てほしい」⇒「どんなお客に何人来てほしいのか」
- 「いつかお客は増える」⇒「何時どのようなお客あ何人増えるのか、その根拠は」
はっきりさせると業績改善へ向けて動き出します。
働きかけなければ顧客は振り返らない
「なんとなく」「ぼんやりと」「待っている」だけでは売れない時代です。
自店はどういう店かをはっきりしないとお客様に認知してもらえません。
誰を対象にして、どういう価値を提供し、どのようにして売るのかをはっきりしないと売れない時代です。
自店の顔をはっきりさせて、それでお客に「いかがですか?」と問う。
顧客に主張しなければ、働きかけなければ顧客は振り返りません。
どのような顧客がいて、どの顧客を対象にして、どういう立ち位置で臨むか
「なんとなく」「ぼんやりと」「待っていた」お店は気付きます。
いままで
- 顧客に関心も持たずに
- 何が必要とされて、何が喜ばれて
- どういう提供をすればいいか
を考えず、決めず、主張してこなかったこと。
こういう場合にSTP分析が役に立ちます。
- 市場にはどのような顧客がいて・・・市場細分化(Segmentation)
- どの顧客を対象にして・・・顧客・市場の特定化(Targeting)
- どういう立ち位置で臨むか・・・立ち位置決定(Positioning)
どのような顧客がいて、どの顧客を対象にして、どういう立ち位置で臨むかを検討するビジネスフレームワークがSTP分析です。
STP分析の活用方法
自社の店舗、商品、サービスをどのようなお客様にどのように提供すれば効果的かを検討するのがSTP分析です。
STP分析は
市場細分化(Segmentation)により市場の全体を把握し
顧客・市場の特定化(Targeting)によりその中から狙うべき市場を決定し
立ち位置決定(Positioning)により競合他社との立ち位置関係を決める
ビジネスフレームワークです。
各段階の活用方法を説明します。
どのような顧客がいるか・・・市場細分化(Segmentation)
漠然とした市場を下記のような要因で細分化してどのような顧客がいるのかを把握します。
細分化要因
デモグラフィック要因(その人のもつ社会経済的な特質データ、統計調査により情報収集)
❏性別❏年齢❏国籍❏地域❏所得❏職業❏学歴❏家族構成など
サイコグラフィック要因(インタビューや、アンケートによって情報収集)
❏ライフスタイル、❏行動、❏信念(宗教)、❏価値観、❏趣味、❏嗜好、❏個性、❏購買動機、❏商品使用程度など
画像の例ではフィットネスクラブを取り上げています。
フィットネス市場を
まず
性別で女性、男性で細分化
次に
年代で細分化
さらに
フィットネスの動機(健康、美容、スタイル)で細分化
したものです。
漠然とした市場がどのような要因で構成されているかがわかってきます。
どの顧客を対象にするか・・・顧客・市場の特定化(Targeting)
市場細分化(Segmentation)によって市場を構成する細かい市場の特性がわかりました。
その細分化された市場のどれを自社の店舗、商品、サービスの対象とするかを決めるのが
顧客・市場の特定化(Targeting)です。
大きく分けて3種類になります。
- 広範的特定化
大企業のように豊富な経営資源で細分化を無視して広範囲な顧客・市場を対象とする。
先の例で言えば
男性女性に関わらず幅広い年代にいろいろな動機に対応できるフィットネスクラブです。 - 差別的特定化
複数の市場を異なる商品、サービスで対象とする。
先の例で言えば
女性専用のフィットネスクラブだが20~30代は美容志向メニュー中心で、40代~50代は美容と健康の両方を重視したメニューで60~70代は健康志向メニュー中心で対応するものです。 - 集中的特定化
一つの市場を自社の持てる経営資源を集中して対象とする。個人商店の取るべきシナリオです。
先の例で言えば
女性専用のホットヨガ専用フィットネスクラブという場合です。
このようにして
自社の店舗、商品、サービスをどのような顧客・市場に提供すれば効果的かが特定化(Targeting)されました。
どういう立ち位置で臨むか・・立ち位置決定(Positioning)
自社の店舗、商品、サービスを提供する顧客・市場には必ず競合があるものです。
その競合状態の中で
まず
自社の店舗、商品、サービスは特定化した顧客・市場のニーズの評価軸でどのような立ち位置にあるかを確認します。
そして
自社の店舗、商品、サービスはどのような点をアピールすれば有利になるかを検討します。
顧客・市場のニーズに合わせた評価軸は一つではありません。
自社の店舗、商品、サービスが最も有利になる顧客・市場のニーズの評価軸を探ります。
また
自社の店舗、商品、サービスが有利な立ち位置になるように改善し特定化した顧客・市場のニーズの評価軸に合わせることも検討が必要です。